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横浜地方裁判所 昭和38年(ワ)520号 判決 1963年11月29日

理由

先ず原告の被告相模製作所に対する請求について判断すると、同被告が原告主張の約束手形二通を受取人欄白地にて提出したことは当事者間に争がなく、右各手形の受取人欄の補充が無権限の者により為されたものであることは之を認めるに足りる証拠はない。そして、本件口頭弁論の全趣旨により真正に成立したと認めうる甲第一及び第二号証によれば右各手形の裏面の第一裏書人欄には被告東工業名義の、第二裏書人欄には富士工機名義の各白地裏書があり、裏書の連続していることを認めることができるから被告相模製作所は原告に対し右手形金合計金四十五万円及びこれに対する本件訴状送達の翌日であることが記録上明である昭和三十八年七月三日以降右金員完済に至るまで商法所定の年六分の割合による遅延損害金の支払を為す義務のあることは明かであるからその履行を求める原告の本訴請求はこれを認容すべきである。

次に被告東工業に対する請求について判断すると、同被告は適式の呼出を受けたが、本件口頭弁論期日に出頭しないから、民事訴訟法第百四十条第三項により、原告の主張事実は、すべて同被告において之を自白したものと看做す。けれども、約束手形の所持人が裏書人に対し遡求して手形金等の償還請求を為すには仮令え振出人が満期前手形交換所で銀行取引停止処分を受けた場合でもなお、之に対して適法なる手形の呈示を為すことを要するものと解すべきところ、原告は被告相模製作所が昭和三十八年四月五日東京手形交換所において銀行取引停止処分を受けたので、右各手形につき支払のための呈示をしなかつたというのであるから原告の被告東工業に対する本訴請求の理由のないことは明かであり、これを棄却すべきである。

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